Memorism Processors

用語集

メモリズムプロセッサ解説で使用している用語について説明、解説をします。

目次

メモリズムプロセッサに関連する説明であるので、必ずしも用語の意味を正確に伝えられていない事にご注意ください。


ノイマン型コンピュータ

現在われわれが日常的に使用しているコンピュータである。このコンピュータが発明されるきっかけは、大砲の弾道などの計算を機械化し精度を上げるなど軍事的なニーズによるものである。イギリスの数学者アラン・チューリングの示した計算手法(チューリングマシン)を基に、現在のコンピュータの原型を作った米国の数学者フォン・ノイマンに敬意を表してノイマン型コンピュータと呼ばれている。


CPU(Central Processing Unit)

情報処理の中核をなすユニット(デバイス)であり、算術演算のみならずあらゆる情報処理に利用されている。後述するノイマンバスボトルネックがあるので苦手な処理も少なくない。現在のCPUは、マルチコア化による情報処理の高速化とキャッシュメモリによる情報処理の効率化が鍵になっている。今後微細化技術の限界により、CPUの性能は上がりにくくなってくるものと考えられる。
情報(データ)の検索や照合などの情報検出処理に、コストの高い演算素子で構成されるCPUや後述のGPUを利用するのは、勿体ない情報処理をさせている事に気が付く必要がある。


GPU(Graphics Processing Unit)

元々は画像処理を高速に実現する事を目的に開発されたが、最近はAIなどの処理に欠かせない算術演算を高速に実現するためのデバイスとして広く利用されている。1チップに数千個の演算器を搭載する事で算術演算が高速化されるが、大電力消費が課題であり省電力化の研究がなされている。


メモリ(Memory)

情報(データ)を記憶する半導体デバイス。記憶するデータは、CPUに与える命令データと、データベースのデータや画像、音声などの利用データの2種類がある。現在汎用的に利用されるメモリはDRAM、SRAM、FLASHメモリの3種類であるが、より高速なメモリと不揮発性のメモリのニーズが多く、様々なタイプのメモリの研究がすすめられている。メモリズムプロセッサはDRAM、SRAM、FLASHメモリで実現可能であるが、半導体メモリであれば新しいタイプのメモリに組み込む事も可能である。


ノイマンバスボトルネック

CPUとメモリが物理的に分離されている事に起因して、CPUとメモリ間のデータの授受が政策を受け、CPU本来の性能を発揮できなくなる事象の総称。


データ検出問題・情報検出問題

ノイマンボトルネックが最も大きな影響を与える処理がデータや情報の検出処理である。
先に紹介した通り「検索・照合・認識・認証・クラス分け・並べ替え」などの処理を高速に行うためには、事前にインデックスを作成する事や複雑なアルゴリズムを用いて情報処理をする事で対処する以外ない。然しながらこれらのインデックスやアルゴリズムは、前処理や更新処理が必要であるので、リアルタイム性が犠牲になるばかりでなくシステム全体のパフォーマンスや電力性能を劣化させる結果となり、専門性も高くなるので恒久的な解決策とは言い難い。先に説明したバスボトルネックの問題は、現在のコンピュータの誕生間もなくの頃から問題視されてきたが、これまで有効な解決策もなく放置されてきた。いわば急場凌ぎの様なコンピュータの利用方法となっている事に留意する必要がある。
特にニーズと頻度が高いので、弊社ではこの問題をノイマン型コンピュータの「データ検出問題」もしくは「情報検出問題」と呼んでいる。


一般データ検出のための複雑なアルゴリズム

特定のデータを高速で検出するためには、BTreeや転置インデックスなどの複雑なアルゴリズムを利用する必要がある。これらのインデックスを用いる事により検索性能は大幅に向上するが、基のデータの変化に追従して更新処理を行う必要がある。更新処理は大きな負担になる事が多いので、システムとしてのパフォーマンスを劣化させる事になる。
またインデックスを使うデータ検索処理を最適化するためのチューニングが必要で、専門性が高い処理となっている。


画像データ検出のための複雑なアルゴリズム

画像の認識を行うためのアルゴリズムとして、顔の認識はHaarアルゴリズムが利用されている。汎用の画像認識は局所的特徴量に注目したHOGアルゴリズムやSIFTアルゴリズムが利用されている。いずれのアルゴリズムも複雑で専門性が高い処理となっている。


機械学習

通常の情報処理は、プログラムによりCPUに命令を与える事で実現されるが、複雑性が高くプログラムを生成出来ない情報処理、例えば認識処理機能においては、その機能に沢山のデータを学習させる事により認識処理機能を実現させようとするものである。認識する対象物やその用途において様々な手法が存在し、利用可能な状態に最適化するまでには試行錯誤を繰り返す必要があり、専門性が高い。


深層学習(Deep Learning)

ニューラルネット方式の機械学習の一つである。深層学習の最大の特徴は特徴量の自動獲得であり、この特徴により従来型の機械学習より認識精度を向上出来る事から広く利用されている。深層学習の課題として、学習のためのコンピューティングの負担が大きく、GPUなど演算パワーの大きなプロセッサを利用する必要がある。また深層学習の手法も様々であり、標準化できるレベルに至っていない。


メモリズムプロセッサ

ビッグデータ、IoT、AIなど今後の情報化社会に必要不可欠な情報処理における、ノイマン型コンピュータの苦手な処理(=CPUやGPUが苦手な処理)の代表的な処理である「情報(データ)の検出を伴う処理」をCPUやGPUから肩代わりするためのプロセッサ。


イン(ニア)メモリコンピューティング(IMC/NMC)およびプロセスインメモリ(PIM)

ノイマンバスボトルネックを解消するために、メモリチップの中やメモリチップの周辺に演算機能を埋め込んだタイプの半導体チップによるコンピューティングの総称である。半導体微細化技術の限界が間近になりCPUやGPUの性能が上がりにくくなった現在、これらの半導体チップの研究が活発化している。メモリズムプロセッサは、これらのコンピューティングの先駆けとなるものである。


ヘテロジニアスコンピューティング

情報処理の一部に特化したプロセッシングデバイスは並列化処理であるか否かに関わらずヘテロジニアス(CPUの異種)コアと呼ばれており、これを用いたコンピューティングである。
様々な種類のコアで構成されるメモリズムプロセッサによるコンピューティングはHyper Heterogenous Computingと呼ぶのが相応しい。


非ノイマン型コンピュータ

量子コンピュータなどノイマン型コンピュータ以外のコンピュータの総称。


ノイマン型コンピュータの有能なアシスタントもしくは救世主

CPUとメモリを使ったノイマン型コンピュータ以外のコンピュータを、一律に「非ノイマン型コンピュータ」と呼ぶ傾向があるが、メモリズムプロセッサはノイマン型コンピュータの苦手な処理を肩代わりするコンピューティングであるので、「ノイマン型コンピュータの有能なアシスタントもしくは救世主」と呼ぶのが相応しい。


アムダールの法則

アムダールの法則は、並列化しても問題の大きさが変化しないという前提と、問題には並列化できない部分があるという前提の上で、逐次的アルゴリズムとそれに対応したアルゴリズムの並列化実装によって期待できる高速化の関係をモデル化した、情報処理の大原則。
メモリズムプロセッサは、並列化できない処理、並列化しても効率化が悪い処理、に焦点を当てて高速化を図るものである。

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